「場所が崩壊した場所」と「場所が生かされた場所」:福島と北見常呂

  • 2018.03.12 Monday
  • 03:38

3.11から、早くも7年、未だに遅々と進む復興、悲劇は何も解決されていない。原発汚染地域は、廃炉40年へ向けて、愚行を積み重ねるしかない愚行のプロメテウス的苛酷な徒労の除染作業がなされながら、住民たちは住む場所を喪失して、戻れない。

なのに、まだ、原発は電力供給に不可欠だと嘘ぶく論者や業者たちの政府と共謀した原発再稼働へ突き進んでいく。フクシマはよその場所だ、原発は安全だと虚飾を撒き散らして、住めなくなるという事実を、そして除染は永久に消えない放射能ゴミをただ蓄積して。<事実>を事実として観れない、知覚できない、この愚鈍な「知」は、再生産し続けていく。使用した時は世界が崩壊する核兵器を、いつでも持てる準備だけのために。

どんなにコストがかかろうが、自生エネルギーの開発実現事業に徹したほうが、はるかに全体的な経済発展がなされうるのに、負荷を重ねるだけの原発事業が正当化される「嘘」。汚染水は、海へ流される。エントロピー理論は、どこへ行ったのか、語る人たちさえいなくなった。

 

震災後の自分なりの現地入りの視察、そして、原発汚染区域へ防護服を着て入っての視察、それは、わたしの重要な思考規準になり続けている。現地を体験したか否かで、大きな違いが明らかに生み出される。

場所が完全崩壊することがありうるのだという、天災と人災とが結合した地上の地獄である、悪の場所である。場所が崩壊した場所、それは原発によってもたらされた、天災からではない、復興が不可能な場所だ。住民が住めなくなった場所である。田畠に汚染防御シートが整然とかけられた「死んだ場所」。生き生活してきた「暖かい」記憶の場所、住居が冷たく解体されていく。

 

他方、オリンピックで銅メダルにまで至った、場所を生かした場所、北見の常呂。

本橋は、場所の力に気づき、常呂から世界を目指すカーリングを創生させた、くしくもほぼ同時期の8年前。東北の場所崩壊的状況は、どこかに、さらなる決心として常呂の場所作りへと働いたのではないだろうか。何にもない場所ではなく、カーリングの「聖地」を町が築き、育て、その場所出身の選手たちで、世界へ立ち向かい、誰しもが注目する場所を作った。市長が涙しながら喜んでいる場所が生かされた常呂、住民たちが暖かく勝利した選手たちを迎えることができた場所。偉大な場所事業である。その涙と笑顔は、素晴らしい。清々しい。場所を愛する人たち。カーリングは一度やり始めるとやみつきになると、十勝の知人たちから昔教えられたが、TV観戦でも不思議と魅入ってしまう。氷との述語的非分離を見出し生かしたチームが勝つ、それがよくわかったオリンピック中継であった。

そして、純粋なメダルの力の意味が発揮された。それは、個人に止まらない、場所がとったメダルである。他の場所で、道を失った選手が常呂に戻って、場所で蓄積された土壌を生かして、創生した。彼女たちの笑顔は世界を驚かせた。本橋が、一人、黙々と夜中に氷とストーンの状態をチェックする、その姿に感動した。そして、本橋の想いに応えようと努力を積み重ねた4人の選手たち。彼女たちは、カーリングを通じて「場所を作った」のだ。

「そだねー」とともに、常呂を日本中の人たちが知る、場所が生き生きと甦る。

 

場所を殺すのか、場所を生かすのか、はっきりと分岐した、今後の日本。

 

公的文書を書き換えた、書き換えないなどのやりとりの愚行の国会、「まだ謎がある」などと、明らかなことさえ、明らかではないとしているマスコミの「事実を見る」ことが見れない愚行。すっぱ抜いた朝日新聞が、真実か否かなどをやっているTV識者たちの低知性。安倍首相が、言ったか言わないかのことではない(それがまた繰り返されよう)。言わないから関与していないとはならない。安倍首相夫人が名誉校長になろうとしていた森友に、「特例」配慮がなされ、籠池が強引に値引き要請をして、財務省はじめ関係省庁が首相背景が関与しているからとそれに否応なく応えた、その存在を消すために公文書書き換えまでした、単純明快なこのことに何の謎もない。誰がではない、そうした犯罪めいたことをやってのける政治・官僚の構造になりがっているのだ。なのに、言った言わない、文書がある・ない、書いた書かれていない、などバカな繰り返しをし続ける腐敗した政治喪失の政治。規則主義は規則を破る、それを暴露する者も出なくなってしまっている異様さ。場所を殺してきた政治や官僚主義の顛末だ。攻撃する側も場所を喪失している。

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