大相撲、地方巡業;小田原場所を観る

 

大相撲の地方巡業で、小田原場所を先日観戦した。小田原へは、何十年ぶりのことらしい。

本場所の緊張感に比べて、緊張感のない緩やかな雰囲気が、なんとも微笑ましい。

相撲が、大衆エンターテイメントへ洗練されているのを感じる。

力士たちが、観衆に紛れるように動いているのだが、さすが、大関、横綱となると弟子たちのガードが固く近寄れない。それでも、すぐ脇に、彼らがたつ、その雰囲気は、本場所では感じられないものだ。

それにしても、白鵬のオーラは、やはりすごい。申し訳ないが、稀勢の里はただの人だが、白鵬の気魄は、その土俵入りでも迫力が全く違う。大横綱であるのを雰囲気で実感した。

 

また、相撲甚句がいい。

これは、地方にあわせた、場所の発展や病にならぬことを祈る。そして、世間のシビアさを冗談を入れて笑い飛ばす。

初めて、全部を聞いたが、なかなかのものであるのを知った。

相撲が神事であることの片鱗が、形式ではなく実際として残っている。かつては、もっと厳かなことであったのだろうと推察する。

 

取り組みは、本場所のあの力づくのど迫力に比べて、怪我しないように力を出し切っていないが、あえて体をぶつけ合って音を出したりのサービスはしている。

手を振る力士もいれば、こけて転がる力士もいたり、また、神奈川出身の力士を紹介したり、地方へ溶け込む努力をなしている。

宇良や石浦、遠藤がいなかったのはさびしかったが、サインをしてくれるのだろうかと試みて見たが、逸ノ城と嘉風、そして運よく高安のサインをとった。これも、初めてミーハー的にやってみたことだが、丁寧に対応してくれるのは偉い。

(プロ野球で、かつて、横浜球場には出入り自由で、かつての憧れの遠藤さんや田代さんたちとよく会ったりはしたが、サインを選手に求めたことはない。優勝の時だけ、記念ワインのボトルには、監督、コーチのサインはもらったが。)

 

巡業で、それぞれの場所に溶け込む努力を大相撲はしている。

スポーツは、場所立脚へと傾向を強めているが、日本ではやはり相撲がその原点であるのだと思う。

ほぼ満員の小田原アリーナであった。

帰りのバスで、力士たちは、見送る観衆に愛想よく手をふったりおちゃらけていた。

暑夏、愉しいひとときを過ごした。